2月号の第17回。過度の「安心安全」が閉塞感を生み出している
以下、本文から。
リスクを回避する社会が健全なのかどうか。
監視や管理の強化、規則の徹底などが隅々まで行きわたることにより、我々の社会は少しずつ息苦しくなってきた。
実際に施行されると個人情報という言葉ばかりが一人歩きして、何でもかんでも個人情報を提供するのはよくないという雰囲気を一気に社会に蔓延させた。
取材もやりにくくなり、官公庁が個人情報を大義名分に情報を隠すようになったのは当たり前のこと、個人の取材先からも知り合いの連絡先を教えてもらうのが難しくなったし……
「安心安全」という交通標語みたいな4文字熟語が絶対的価値を帯びるようになったのは10年ぐらい前のこと……
「安心安全」を最優先してリスクを避けようとする社会は、行動を起こしたり他者と関わったりという要素を人生から減らすことを奨励する社会に見えてならない。
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ときあたかも『過剰診断』。副題は、健康診断があなたを病気にする。
安心安全希求、リスク回避希求の最後は身体に行き着く。
安心安全に、これで大丈夫というゴールはない。状況はたえず変動しているから、次の瞬間にはそれまでの安全安心もご破算。となれば、リスク回避もさることながら、リスクへの対処方法が考えられなければならない。