2016/03/31

なんとかなるものだ

同僚に「いよいよカウントダウンですね」と声をかけられた。そう、学部長の任期がきょうで終わる。おかげで、無事終わりそうだ。

この4年間は、うまく支えてもらう仕組みを作れば(≒手を抜けば)、なんとかなることを知った時間だった。おかげで楽しくやれた。学部20周年を学部長として迎えられた鏡開きができた:9ページ)のも幸運だった。
さて。

きょう、うれしいことがあった。2年前からの構想が実を結んだのだ。

10年前、川上さん(ご本人曰く、現在フリー)がきっかけを作ってくれた研究会が、その後WebLabになり、さらに、その研究会で(オンライン)ジャーナルまで出すことになった。「メディア・情報・コミュニケーション研究」がそれだ。英文名をもじった略称はJMIC。

雑誌刊行のきっかけは2年前にさかのぼる。詳細はこちらに譲るが(読んでほしいので)、いまやネットを使えば、こんな本格的雑誌まで発行できてしまう。もちろん、ボクにできるわけがない。作ってくれたのは北村さん。彼は、いろいろ調べてOpen Journal Systems (OJS)というオープンソースの編集査読出版システムに行き着いた。投稿から刊行、配布までの全過程が、これ1つでまかなえてしまう。しかもフリー。

目次

北村さんは、寝食は忘れていないと思うが、ほぼそれに近い状態で、この仕事をやってくれた。せめてものお礼に、ここに記録を残しておく。

さて、本誌はオンラインジャーナル。本来、表紙は不要なのだが、やはり顔がないと落ちつかない。ということで、OK! studio に作ってもらった。上の写真がそれである。

1冊まるごとダウンロードしたい人はこちら(表紙と目次が付く)から。70ページ強ある。

2号以降は、掲載が決定次第、随時公刊していく。
明日は入学式。

2016/03/30

「うまい」

墓参帰り、お蕎麦屋さんに寄った。
昨年、行ったときは休業で入れなかったお店だ(けっこう不定期で休む、のがいい。人生のようで)
ザルを注文。追加で季節のてんぷらを注文した。
出て来たのは、うど、たらの芽、ふきのとうの3点盛り。
値段からして一人前のつもりでいたら、二人分で食べきれないほどの量が出て来た。まるで三ヶ岳のよう。
お蕎麦は文句なしにおいしかった。らいあんもピカイチだが、ここもおいしい。

2016/03/24

きちくべいえい

一瞬、目を疑った。
毎日目にする駅の掲示板がすごいことになっている。
右上のポスターなぞ、まさしく「鬼・畜・米・英」。
作者は政府
出ている本人も演技ではない。

 今月号の「ちくま」、斎藤美奈子さんの「世の中ラボ」が拉致本3冊。「問題はしかし、メディアもまた「救う会」の思惑どおりに動かされてしまったことだろう」。政府も同様。「「拉致問題に関する自由な報道からメディアが手を引いて十数年。その状況は今日も続いているのである」。
  1. 蓮池 透『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々
  2. 青木 理『ルポ 拉致と人々―救う会・公安警察・朝鮮総連
  3. 鳩山友紀夫・辺 真一・高野 孟 ・朴 斗鎮『韓国・北朝鮮とどう向き合うか
 蓮池さん曰く「いままで拉致問題は、これでもかというほど政治的に利用されてきた。その典型例は、実は安倍首相によるものである。まず、北朝鮮を悪として偏狭なナショナリズムを盛り上げた。そして右翼的な思考を持つ人々から支持を得てきた。アジアの「加害国」であり続けた日本の歴史の中で、唯一「被害国」と主張できるのが拉致問題。ほかの多くの政治家たちも、その立場を利用してきた。ほかの多くの政治家たちも、その立場を利用してきた。しかし、そうした「愛国者」は果たして本当に拉致問題が解決したほうがいいと考えているのだろうか?」。

 思考停止の経済制裁でしか対応しない政府に解決の意志は見られない。目立つのは利用価値だけ。防衛費拡大、党勢拡大、差別容認。

2016/03/20

にしおぎ南口

フェスタの帰りに、先日の雑貨展で知ったRe:gendo(りげんどう)へ。ここは昭和時代の民家をリフォームしたカフェ兼ショップ。板ガラス、木枠の窓がなつかしい。ひっきりなしのお客さんは大半が若め。

近くに、創業1985年のおもちやさんがある。行列がなくなったと思ったら、売り切れ。

このおもちやさんの先が窪んでいる。ここは松庵川のあとだとあらかじめ教えてもらっていた。

Wikipediaを引くと、こう書かれている。
松庵川は、中央本線建設時に湧き出た水や雨水、排水を集めて善福寺川へと流す目的で、大正時代後期に開削されたとされる。その後、周囲の急速な宅地化で、昭和初期には下水化。戦後には、氾濫対策として、神明通りの本流から分かれて北へ、杉並区立神明中学校の東側を抜けて善福寺川へと至る暗渠の放水路も作られた。名称は、西荻窪では「大宮下大下水」と呼ばれていたものが、後にある郷土史家が「松庵川」と仮称し、それが広まったとされる。 
※参考文献『東京ぶらり暗渠探検』洋泉社

偶然にも、3月22日~29日。「松庵川展」が開かれるらしい。
検索の副産物(長野市鶴賀)

2016/03/19

卒論の書き方14:兄弟姉妹

前回の続き。

「兄弟姉妹」というフル表記は、上下・性別を顕在化させる。ふつうは「きょうだい」で十分。

「大辞林 第三版」にはこう書かれている。

きょうだい【兄弟・姉妹・兄妹・姉弟】
(1) あにとおとうと。また,その間柄。けいてい。 ↔ 姉妹(しまい)
(2) 両親または片親を同じくする間柄。また,その間柄にある人々。あに・おとうと,あね・いもうとなどの関係。 「腹違いの-」 「 -げんか」
(3) 結婚や養子縁組などで,新たに生じた,義兄・義弟,義姉・義妹などの間柄。また,その間柄にある人々。義兄弟。 「義理の-」
(4)「兄弟分(ぶん)」に同じ。
(5) 男同士が,相手を親しんで呼ぶ言葉。 「おい-,景気はどうだ」 〔② ③ は「姉妹」「兄妹」「姉弟」と書いて,「きょうだい」と読ませることもある〕

 兄弟・姉妹・兄妹・姉弟。これらはすべて「きょうだい」と読む。強いて言うならば、(2)の意味か。

2019年7月14日改訂

2016/03/13

げんぷうけん

意外なところで40年前に出会った。

行司千絵さんの『おうちの服』だ。副題が「世界で1着の服」。
本書は、彼女の作った服を来ている人たちに彼女自身がインタビューしたもの。

秋野さん・井上さん夫妻の紹介記事に現代風俗研究会の初期の話が出てくる。
当初、例会や総会は法然院で開かれていた。橋本峰雄さん(先代貫主、神戸大教員)が発起人の一人だったからだ。もう40年前の話である。
ずっと会場は法然院だと思っていたのだが、この記事によれば、夫妻の住む徳正寺でも例会は開かれていたらしい。
記憶違いかと思って調べた。
どうやら創立当時のことではない。知らなかったのだが、最近はときどき徳正寺で開かれている。
この本自体も雰囲気のあるすてきな仕上がりだ。

2016/03/08

戻ったら花粉症

工学系の大会の様子見で沖縄に行っていた。

分野が違うと、ことばの用法が違う。
先行研究(precedent study)が「既往研究」。
既往と言えば既往症。これしか浮かばない身には違和感がある。
Googleで調べたら、「既往研究」約 538,000 件、「先行研究」約 809,000 件。「既往」、意外に多い。

分野が違うと、所属の表記内容が異なる。
タイトル画面で名前に添えられるのはもっぱら所属研究室。大学名の表記はない。
誰の研究室にいるのかが重要なのだろうか。

分野が違うと、使われることばが違う。
途中途中で、「小結」という2文字が登場する(画面にあっただけなので、読み方もわからない)
とりあえずの結論(小口の結論?)という意味なのだろうか。辞書に載っていない。

次回、発表する予定でいるが、先行研究、大学名あり、「結論」でやってみようか。
あちこち巡るなかで、公衆トイレで子供用便座をよく見かけた。沖縄県は出生率全国1位、1.88人(合計特殊出生率=1人の女性が一生の間に産む平均子ども数の推計値。15 歳から 49 歳までの年齢別出生率の合計。合計特殊出生率が人口置換水準(2.07)を下回ると長期的に 人口は減少する)。

ブラタモリがちょうど那覇を扱っていて、たまたま、その撮影ルートの近くガーブ川周辺)で道を尋ねたら、番組にふれながら、詳しく周辺を説明してくれた。タモリ気分。テレビではふれられなかったが、その界隈は再開発が進んでいる。行くならいまのうち。
羽田空港の濃霧で予定便が欠航。3時間遅れで帰着。

2016/03/07

It will kill two birds with one stone.

目抜き通りを歩いていると、こんな看板が立っていた。
空き店舗の前だ。
もとがどんなお店だったのか、知る由もないが、今度はパン屋さんが入るらしい。

空き店舗で工事が始まると、今度は何が入るのか気になるが、この看板があれば、そんなこともなくなる。
下部に施工業者の名前と電話番号があり、工務店の宣伝にもなっている。
いい看板だ。
と思う。

どんなパン屋さんなのだろう。

2016/03/05

Hearher et al., 2016:意味あるものとしての退職後

意味あるものとしての退職後:ポジティブな退職後ステレオタイプと寿命との関連

Retirement as Meaningful: Positive Retirement Stereotypes Associated with Longevity (pages 69–85)
Reuben Ng, Heather G. Allore, Joan K. Monin and Becca R. Levy
Article first published online: 9 MAR 2016 | DOI: 10.1111/josi.12156
Journal of Social Issues
Volume 72, Issue 1 Pages 1 - 222, March 2016

退職後生活と健康との関連を検証した研究の結果は一致しないままである。これはそれらの研究が退職後期間を単なる就労の欠如として扱っていたせいかもしれない。ステレオタイプないし社会信念(例、退職後は精神的衰退期である、ないし退職後は発達期である)と関連づけられた移行とは扱われていない。これらのステレオタイプと健康との関連を検証するため、われわれは退職後ステレオタイプと、1,011人の高齢者の間で23年の期間にわたって生存者の両方を調べた。ステレオタイプ身体化理論から推測されるように、退職後の身体健康に関するポジティブなステレオタイプは4.5年の延命効果を示した(ハザード比=0.88、p=.022)。同じく精神健康に関するポジティブなステレオタイプは2.5年の延命効果を示した(ハザード比=0.87、p=.034)。年齢や性、人種、雇用状態、機能的健康、主観的健康のような関連共変量を調整したモデルでである。これらの結果が示すのは、退職後の事前準備は退職後ステレオタイプを考慮することで利益が得られる可能性である。

 *ハザード比=ある結果がもたらされる割合を示す指標。例えば、ハザード比0.88は12%減少させることを示す。

Studies examining the association between retirement and health have produced mixed results. This may be due to previous studies treating retirement as merely a change in job status rather than a transition associated with stereotypes or societal beliefs (e.g., retirement is a time of mental decline or retirement is a time of growth). To examine whether these stereotypes are associated with health, we studied retirement stereotypes and survival over a 23-year period among 1,011 older adults. As predicted by stereotype embodiment theory, it was found that positive stereotypes about physical health during retirement showed a survival advantage of 4.5 years (hazard ratio = 0.88, p = .022) and positive stereotypes about mental health during retirement tended to show a survival advantage of 2.5 years (hazard ratio = 0.87, p = .034). Models adjusted for relevant covariates such as age, gender, race, employment status, functional health, and self-rated health. These results suggest that retirement preparation could benefit from considering retirement stereotypes.

ステロタイプ脅威のようなものなのだろうか。

2016/03/01

タイムリーな1冊

藤野裕子『都市と暴動の民衆史:東京・1905—1923年』有志社

第8章「朝鮮人虐殺の論理」第2節「自警集団の構造」が秀逸(ほかでも使えそう)

 藤野さんは裁判記録から、自警集団の3タイプに類型する。
 グループ1 地元住民:在郷軍人会分会や消防団に所属する 
 グループ2 新規流入者:当地に移り住んで来て1年未満の者。地元住民でないがゆえに第1グループに属することができない
 グループ3 隣町の住民:噂を聞いて駆けつけた一団

 官憲ばかりでなく、民衆自身の虐殺も決定的な役割を果たしていたのである(グループ3)
……
7名の朝鮮人を虐殺したあとも、(グループ1の)住民の恐怖は消えることはなかった。むしろ住民は新たな恐怖に苛まれることとなった。殺害後、住民の一人は長屋の持ち主に夜間の警戒を頼まれる」。
……
7人を殺害しても(殺害したがゆえに)、残り2人を取り逃がしたことが重大事となり、朝鮮人が集団で報復しに来るのではないかという恐怖が生まれた。この恐怖を解消するには、もはや9人全員を殲滅するほかない。警備は夜を徹して行われ、事実、逃げ延びたうちの1人と思われる人物が翌朝に発見され、殺害された。
恐怖を解消してくれるはずの行為がつぎの恐怖を喚起する皮肉。
「保育園落ちた日本死ね!!!」
http://anond.hatelabo.jp/20160215171759

朝日の記事から。
「2月29日の衆院予算委員会では、民主党の山尾志桜里議員が取り上げた。安倍晋三首相は「匿名である以上、実際に本当であるかどうかを、私は確かめようがない」と答弁。議員席からは「誰が(ブログを)書いたんだよ」「(質問者は)ちゃんと(書いた)本人を出せ」とやじが飛んだ。ツイッターでは《#保育園落ちたの私だ》というハッシュタグができ、議論が盛り上がっ」ている。

東京新聞の特集記事「名ばかり『一億総活躍』」

 知り合いが「匿名の意見に意味がないというなら、総選挙も無記名投票で意味ないから無効だって言って議員バッジ外せはいいんじゃないかな」と。

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...