東京新聞朝刊
「願い込め新1年生」
2011年3月、東日本大震災の過酷な状況の中で生まれた子どもたちが今春、小学校入学を迎えた。
「震災当日3.11に生まれた(下沢)さくらさん」
あの寒い日に生まれた。だからこそ、厳しい冬の後で見る人を元気づける桜のように周囲を明るくしてほしい。「さくら」と名付けた(岩手県宮古市)。母の悦子さん(38)。
「3日後生まれた(菅原)幸助くん」
「『幸助』でどうだ」。病室で祐二さん(40)が律子さん(38)に告げた。用意していた名前とは違ったが、律子さんに異論はなかった。「震災で助けられた恩を忘れず、人を助けられる幸せな人になってほしい」。律子さんは祐二さんの思いを理解できた(宮城県気仙沼市)。