2012/02/19

「石子順造的世界」


府中市美術館は府中の森公園内にある。美術館までは林の中をくねくね歩く。まっすぐのメインストリートもあるが、それよりも脇の、その道がいい。途中、大きな丘が目に入ってきたある(一番うえの写真)。青空を背景にすると、北海道にいるような雄大な気持ちでいっぱいになる。

いま美術館は「石子順造的世界」。49歳で亡くなった石子順造のコレクションや、彼の仲間の作品を集めた展覧会だ(二番目の写真)。当時の漫画評論家には石子順という共産党系の人もいて、紛らわしかった(調べたら、彼は和光大の教員も務めたらしい)。

館内は懐かしいものばかり。日光写真もそのひとつ(三番目の写真)。月刊誌の付録によく付いていた。駄菓子屋でも売っていた。

「ねじ式」の原画がすべて展示されている。原画は意外に小さく、細密画のようだ。これを製版したものを見たのか、と「ガロ」の時代を思い出した。「漫画主義」の表紙原画も、櫻画報のポスターも緻密の固まり。

鑑賞コースの最後の方で丸石神の写真群に出会った(一番したの写真)。これも懐かしい。写真集は当時買ったのだが、引っ越しを繰り返す中で手放してしまった。「漫画主義」もどこかへ。

今回の展示物。遠い日の高校時代と大学時代を一気に呼び起こしてくれた。


◎館内の写真二点は、撮影可の「キッチュ」セクションのみ。


フルネームで呼んでくれてありがとう

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