東京新聞8日付けの「家族のこと話そう」に室井滋さんが登場。
「滋という名前は、父が考えてくれました。良いことも悪いことも全て栄養になるようにと」。ただ、父親は波乱の人生。
「滋という名前は、小さいころは男みたいで嫌でしたが、両親からもらったとても大切なもの。ずっと本名で通しています。人生は自分一人で築くものじゃないと実感しています」。
そこで、彼女の自伝的絵本『しげちゃん』を思い出し、読むことにした。
入学式の日から、いやなことがあった。彼女の机の上には「しげる」と書かれた水色の紙。女の子はピンクなのに。先生になおしてもらおうと思った矢先、紙を見た隣席の男子が、僕の横だけ男!、と泣きべそ。泣きたいのはこっちなのに。名前のせいで、嫌な目にしょっちゅう遭う。母親に改名を訴えるが、拒否される。「なにいってんの、たいせつな名前を。しげちゃんは生まれてからずっと『しげる』なんだから、かえられるわけないでしょ」。
ある日、母親が彼女をだっこして、一番幸せになれそうな名前を考えたとやさしく説明する。そのとき、なぜ「しげる」なのかも語られる(ここは読んでのお楽しみ)。そして「滋養」の「滋」であることも教えられる。
それを聞き、彼女は「ちょっぴり」「しげる」が嫌でなくなる。結婚しても変わらないのだから、もっと好きになることを誓って、この絵本は終わる。
