2019/02/20

コートネーム

■コートネームとは
2013.7.5
http://www.osaka-shoin.ac.jp/life/report/2013/07/p=13896

 バスケットボールのように展開が速いスポーツでは、いちいち「綾小路麗華シュ~~~ト」なんて名前で呼んでいる時間がないので、全員に2、3文字程度のコートネームがついています。例えばナギとかハグとかいった類です。そして、これもでたらめに付けているのではなく、その選手の特徴や期待を込めたネーミングが多いようです。コートネームは上級生が考え、新入生歓迎会の時に一年生に贈られます。結構みんなこの儀式を楽しみにしているみたいですよ。学校内でその生徒に会えば是非コートネームで呼んであげてください。
樟蔭高校バスケットボール部顧問・山盛

■女子バスケットにあるコートネームって何?
「日刊スポーツ」2018年9月30日
https://www.nikkansports.com/olympic/column/edition/news/201809270000626.html

「リュウ」「タク」「シン」…男性の名前に聞こえるが、女子バスケットボール選手は互いに、こんな感じで呼び合う。日本女子バスケ界には本名とは別に、競技中に呼び合う「コートネーム」がある。日本独特の伝統はなぜ生まれたのか? どう命名されるのか? コートネームの謎について、リオ五輪女子日本代表主将の吉田亜沙美(30=JX-ENEOS)に聞いた。
取材・構成=戸田月菜

コートネームって何だろう?? リオ五輪8強にチームを導いた吉田に聞いた。吉田にもコートネームがあり、「リュウ」と呼ばれている。

-「リュウ」の由来は
吉田 「勝利の“流れ”を呼び込めるように」、との思いから1字取って「流」=「リュウ」とつけてもらいました。高校を卒業してJXに入る時に、JXの先輩がいくつか候補を出してくれて、「これだ!」とピンと来たのが「リュウ」でした。

-JXに加入する前、東京成徳大中、東京成徳大高時代にはなんと呼ばれていたのか
吉田 私の場合は中高一貫だったので、中学の時にコートネームをつけられました。「あさみさん」が先輩にいたので、名字から取って「ヨシ」。でも由来のあるコートネームが欲しくてJXの先輩方に相談して、つけてもらいました。

-代表チーム等でコートネームがかぶった場合はどうなるのか
吉田 先輩が優先で、年齢が下の選手が何か別の代表限定のコートネームに一時的に変えます。クラブに戻ったらまたそれぞれのコートネームで呼ばれます。代表チームが集まったときに自己紹介がないので、新しく加入した子のコートネームが分からないときは周りに聞いたりしてますね。

-コートネームの便利なところは
吉田 パッと呼びやすいのが一番ですね。みんなコートネームで呼んでいるので下の名前が分かんなくなったり、漢字が分かんなくなることはたまにあります。あとは「リュウさん」のほうが近い感じがして、ファンに認識してもらえるのはうれしいですね。フルネームを覚えるよりは、まずはコートネームから覚えてもらって、選手を知っていってもらいたいですね。コートネームがずっとある環境にずっといるので、それが当たり前になっています。由来をつけてもらうことで、その名に恥じないプレーヤーになりたいとの心構えができます。

-クラブでは普段からずっと「リュウ」と呼ばれている
吉田 「リュウ」と呼ぶのはマネジャーのみですね。監督、トレーナー、アシスタントコーチからは名前をそのまま呼ばれています。タオルやスクイズボトルなど、チームで支給される練習着や移動着などには「流」と書いています。JXに入ってから知り合った人からは「リュウさん」、高校時代の知り合いからは「ヨシさん」と今も呼ばれることがあります。

 事情は分かってもらえただろうか? 女子バスケの観戦にいけば、選手同士がコートネームで呼び合うことがすぐに分かる。テレビでも耳を澄ませば、聞こえてくる。命名の由来も知れば、その選手のことがより分かるようにもなる。

■女子バスケのコートネームって何?
 JX-ENEOSの山﨑総括マネージャーに教えてもらった
「バスケットボールキング」2017.05.17
https://basketballking.jp/news/japan/wjbl/20170517/13636.html

 女子バスケットボールの試合を見に行くと聞き慣れない名前が飛びかい、選手のSNSでも本名とは異なる見慣れない名前が見受けられる。「リュウ」「タク」「メイ」……それは「コートネーム」と言われる一種のあだ名のようなものだ。どうしてそういったコートネームに決まったのか、その由来は選手それぞれで異なる。今回はJX-ENEOSサンフラワーズの山﨑舞子総括マネージャーに各選手のコートネームの由来や意味を聞いた。
インタビュー=酒井 伸

――コートネームはいつ頃から付けられるんですか?
山﨑 高校時代に決まることが大半だと思います。入学時に先輩や先生から「あなたのコートネームはこれね」と与えられます。大学に進学して変わる選手もいますし、その後のクラブでもまた新しいコートネームに変わる選手もいます。サンフラワーズは本人が変えたいと言えば、先輩がその選手に合ったコートネームの候補を出します。その中から本人が決めることが多いですね。

――高校時代のコートネームはどのようにして決まるのですか?
山﨑 入ってすぐに決まるので、「こういう選手になってほしい」という願いが込められています。

――普段の生活の中でもコートネームで呼び合うのですか?
山﨑 コート外でも使います。だから私は普段から「ダン」と呼ばれています。高校時代からずっと同じで、他の部活の子からも「ダン」と呼ばれていました。私の高校には女子ソフト、女子サッカー、女子野球、女子バレーボール、駅伝など多くの部活がありましたが、女子バスケ部だけコートネームがありましたね。

――「ダン」はどんな意味ですか?
山﨑 口にするのが申し訳ないほどの由来なのですが、バスケットボールの神様、マイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズ)が由来です……。マイケルって英語で言うと「マイコー」に近い発音をするじゃないですか。私の名前が舞子で、それがきっかけで高校入学時に先生から「『ジョー』か『ダン』のどちらかだ」と言われ、「ダン」にしました。よく聞かれるのですがあまりにも恥ずかしいので「団子のダンです」と言ってごまかしていました……。

――同じマネージャーの藤田愛奈さんは?
山﨑 「ヨリ」と言います。JXに入部時に“頼りになるマネージャーになれるように”という願いを込めて付けられています。

――いろいろな付け方があるんですね。
山﨑 日本代表の合宿などに参加すると、チームと違ったコートネームが与えられることがあります。様々なチームから選手が集まるので、どうしてもコートネームが被ることがあります。馬瓜エブリン(アイシン・エィ・ダブリュ ウィングス)のコートネームは「ダン」で、私と同じなんです。アイシンでは「ダン」と呼んでいますが、日本代表に来たら「エブリン」と呼ばれていました。日本代表の時は日本代表歴の長い人に合わせます。例えば、大神雄子(トヨタ自動車アンテロープス)選手と宮元美智子(元三菱電機コアラーズ)さんが同じ「シン」だったのですが、大神選手の方が代表歴が長かったので、宮元さんは本名の「ミチ」で呼ばれていました。

JX-ENEOSサンフラワーズのコートネーム
・リュウ(吉田亜沙美)
 勝利の流れを呼びこめるようにという願いが込められて12年前に先輩から付けてもらったコートネームです。ちなみに高校の時は「ヨシ」と呼ばれていたようです。リュウはウェアやスクイズボトルなどの自分の持ち物にも漢字で「流」と書いています。
 
・ネオ(藤岡麻菜美)
 ギリシャ語で「新しい」という意味です。歴史あるサンフラワーズというチームに新しい風を呼びこめるようにという想いが込められています。このコートネームは、大学時代の「アス」から変えたいという相談があって、同期のリト(大沼美琴)が一生懸命調べて考えて決めたのです。
 
・リン(木林稚栄)
 臨機応変から採用したコートネームです。臨機応変にプレーできるようにという意味があります。サンフラワーズに入ってからこの名前が付きました。
 
・ウミ(山田愛)
 ガードの選手で、視野の広さが求められているので、海のように広い視野でバスケットボールをプレーできるように、また海のように広い心を持ったプレーヤーになるように、といった願いが込められています。
 
・タク(渡嘉敷来夢)
 高校時代は領域を支配するという意味の「リョウ」だったんです。サンフラワーズに加入した時に変えたいと言って、たくましさから取った「タク」になりました。また、チームの「勝利を託せる選手に」という意味もあります。先輩たちが何個かリストを出した中から本人が選んで「タク」に決まりました。今ではコートネーム以上にたくましい選手になってくれています。
 
・レア(岡本彩也花)
 高校入学時に先輩から付けられたもので、アグレッシブなプレーヤーになれるようにという想いが込められていて、アグレッシブの「レ」と「ア」を入れ替えています。彼女は161センチと小柄ですが、その名のとおり、3ポイントシュートだけでなく積極的にドライブインでインサイドに切れこみ得点も取れる選手です。
 
・リョク(西山詩乃)
 3ポイントシューターの「リョク」は「魅力あるシューターになるように」という意味です。魅力的なシューターを目指して毎日がんばっています。
 
・メイ(大崎佑圭)
 「メイ=明」は「常に明るい笑顔を絶やさない」、どんな時でも「明」るく笑顔でプレーできるようにという意味です。実際のプレースタイルもその名のとおり、明るくチームを引っ張り、どんな時も動じません。

・リト(大沼美琴)
 高校の恩師に付けてもらったコートネームで、本人もすごく気に入っています。何かと何かをつなぎ合わせるという意味の英単語「リガメント」から「リ」と「ト」を取ったものです。リトがチームメートを1つにまとめる、チームをつなぎ合わせるいう意味が込められたコートネームです。

・アコ(石原愛子)
 名前の愛子からきています。コートで「アイコ」と呼ぶよりも「アコ」と呼んだ方が言いやすいですよね。あとコーチも指導する時に「アイコ!」と叫ぶより「アコ!」の方が良さそうですよ。笑

・ニニ(中村優花)
 ニニはハーフで、帰化する前の名前が「Uniqueka」なんです。アメリカでは小さい時から「ニニ」と呼ばれていて、それがコートネームになりました。名前は優花と書いて「ゆにか」と言います。

・ユラ(宮崎早織)
 どんな状況でも揺らがない選手になれるように、という想いからこのコートネームになりました。けど、普通は揺らがないではなく揺るがないと言いますよね。なので、本当は「ユル」なんです。でも可愛いから「ユラ」でいいですね。笑
 
・アース(宮澤夕貴)
 金沢総合高校時代の恩師、星澤純一先生に付けられたもので、宮澤の「宮」が神宮の「宮」なので、そこからつながり天照大御神(あまてらすおおみかみ)の「ア」と「ス」をとって「アース」です。よく地球の「EARTH」と間違われていますが、日本の神様の方です。すごい神々しいコートネームです。

 コートネームで、こんな相談も。
 コートネームは同じバスケットボールでも男子にはないという。女子ではバレーボールの世界でもコートネームは使われている。

フルネームで呼んでくれてありがとう

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