2012/04/26

沿う民俗学

会議を終えて、いったん帰宅。
その足で長野。
電車の中で、『驚きの介護民俗学』を読み始めた。
最初からおもしろい。
まだ途中だが、3章の中の一節、「同じ問いの繰り返し」がいい。柳田國男の認知症にふれるところから始まるのだが、佐藤健二の著作『読書空間の近代』を引きながら、同じ問いを繰り返すことの意味を説く。
言わば、相手に沿う民俗学。と思ったが、もともと民俗学はそうなのかもしれない、ね。

ボクも母の老人ホームに行くと、他の入居者と話す機会が多く、つい聞き入ってしまう。きちんと聞くとおもしろい。
白い犬のぬいぐるみを抱えて、その犬と散歩に行きたいのだけれど、ドアを開けてくれないか、とか(残念ながら、開けてあげられない)。
以前いた(ボクじゃないよ)老人ホームでは、ヒゲを生やしているものだから、ボクに向かって敬礼をする人もいた。軍隊でのできごとをよく話す人だった。
最近立て続けにいただいた2冊の著書。
片桐恵子さんの『退職シニアと社会参加』(カバーも著者)と、深山直子さんの『現代マオリと「先住民の運動」』(カバーは著者の撮影)。
どちらも著者は女性。
共通点は、はしがきがいいこと。六車さんの本もそうだ。等身大の内容で、共感する人も多いのではないだろうか。
片桐さん、深山さん、出版おめでとう。

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...