人間関係、縁は授業で扱っているテーマでもあり、グッドタイミング。
さっそく読み始めた。収録されているのは主に1980年代の論考で、隔世の感のある章もあれば、今も同じ、という章もある。
ものごとにはかならず「原因」と「結果」とがある、というのが、西洋でうまれた「因果律」の思想である。それにたいして、仏教語としての「縁」は、「因縁」や「縁起」の用例にみられるように、「原因」をもっとひろく解釈する。…因果関係という枠組み自体を相対化する必要があるという主張だ。こういう発想は罪を問いにくい心性に通じるのかもしれない。
本書の明示的テーマは縁であるが、それと同じぐらいに重要なテーマとして、翻訳語が扱われている。社会とsociety、集団とgroup…。概念は、いわば知的アフォーダンス。要注意だ。
柳父さんの『翻訳語成立事情』を再読しなければ。
学生時代、井上さんや多田道太郎さん、南博さん、宮城音弥さん、藤竹暁さん、加藤秀俊さんにひかれ、よく読んだ。その後、多くの方には直接、話をする機会にも恵まれた。40年前に読んだ本たち、読み返そう。