2013/09/05

『スバらしきバス』

平田俊子さんの『スバらしきバス』。

武田百合子『富士日記』以来の久しぶりの共振本。富士日記の刊行は1977年だから、39年ぶりか。

日付こそないけれど、いわばバス日記。著者にとって、せつない路線も出てくる。

本書は、ダジャレ風タイトルに惹かれる人、人間観察好き向け。

場面に対する反応が素朴(風)なのがいい。妄想(風)で大げさなのもいい。思いをすぐ修正するのもいい。

乗ったことのある路線がいくつか出てきて、「そうそう」とうなづいてしまう。

最初から最後まで、つまり書名からあとがきまで、徹頭徹尾、バスしている。

これを読んでいると、もちろんバスに乗って、人を観察したくなる。それも終点まで乗って。途中で降りるとなると、途中が楽しめない。

乗ってみたい路線は、「新宿駅西口」発「王子駅前」の都バス。

早く文庫本にならないだろうか。バスのお供になれる。

フルネームで呼んでくれてありがとう

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