平田俊子さんの『スバらしきバス』。
武田百合子『富士日記』以来の久しぶりの共振本。富士日記の刊行は1977年だから、39年ぶりか。
日付こそないけれど、いわばバス日記。著者にとって、せつない路線も出てくる。
本書は、ダジャレ風タイトルに惹かれる人、人間観察好き向け。
場面に対する反応が素朴(風)なのがいい。妄想(風)で大げさなのもいい。思いをすぐ修正するのもいい。
乗ったことのある路線がいくつか出てきて、「そうそう」とうなづいてしまう。
最初から最後まで、つまり書名からあとがきまで、徹頭徹尾、バスしている。
これを読んでいると、もちろんバスに乗って、人を観察したくなる。それも終点まで乗って。途中で降りるとなると、途中が楽しめない。
乗ってみたい路線は、「新宿駅西口」発「王子駅前」の都バス。
早く文庫本にならないだろうか。バスのお供になれる。
