産業・組織心理学会の部門行動研究会が筑波大学の文京キャンパス(旧東京教育大)であった。「未経験課題を克服するリーダーシップ」と言われると気になるじゃないか。
趣旨
多様性と変動性に富む経営環境は、否応なく経験したことのない新しい課題への対応を組織に迫ってきます。そんな未経験課題との直面が珍しくもなくなってきた今日、その克服に向けていかなるマネジメントが重要になってきているのでしょうか。長年にわたり議論され研究されてきたリーダーシップ論は、変革型リーダーシップ論に続き、フォロワーからの認知の重要性を再認識しながら、これまで以上にフォロワーの知識や経験を生かしてチームの力を結集するリーダーシップのあり方をめぐる検討へと新しい研究動向が生まれています。
組織行動研究の永遠のテーマとも言えるリーダーシップ論の最近の動向を理解し、新しい時代を切りひらくリーダーシップのあり方について議論する機会として、今回の組織行動部門の研究会を企画しました。気鋭の研究者3人にご登壇いただき、話題提供をいただいた後、出席者の皆様と闊達に議論したいと願っております。
話題提供者
1.リーダーシップの幻想理論とその周辺 日野健太(駒澤大学経営学部・教授)
2.関係性アプローチからみるリーダーシップ研究の広がり-フォロワーの認知を知ってどう活用するか- 山浦一保(立命館大学スポーツ健康科学部・准教授)
3.サーバント・リーダーシップの効果とその可能性 池田 浩(福岡大学人文学部・准教授)
会場は満席、立ち見。
話題提供者の二人が共通してふれていたのが、Dinh et al. (2014) のレビュー(Leardeship Quarterlyの25周年特集号、vol. 25, 36-62.) のTable 2「トップ10ジャーナルに見るリーダーシップ研究のトレンド(2000-2012)」。なかでも注目すべき今後のトレンドは「倫理・道徳的アプローチ」だという(池田さん)。内容としては、倫理的リーダーシップ、真のリーダーシップ、サーバント・リーダーシップの3つが含まれる。
信頼が崩壊する主なきっかけ(山浦さんの報告から)
・上司(部下がこうしたから)
辛辣でネガティブな言動、悪い業績・仕事ぶり
・部下(上司がこうしたから)
辛辣でネガティブな言動、責任転嫁、指示や連絡内容の悪さ
現状を考えると、リーダーシップ研究では、フォロアーの雇用形態が考慮されてもいい(リーダーも同様)。というのが素人の感想。正社員、嘱託、派遣が混在する職場はいまや日常的になっているからだ。