2014/12/21

「作らない建築家」の本


坂口恭平『TOKYO一坪遺産』集英社文庫

もくじ
  1. 仮想野球場:二人で野球をするための分身術
  2. 隅田川の0円ハウス:人体の延長線上の家
  3. 宇宙の缶詰
  4. 隙間芸術:中野のパーキングガーデン
  5. 東京駅のエアポケット:パラソルの下の靴磨き屋
  6. 現代の楽市楽座
  7. 歌舞伎町のオートクチュール宝くじ売り場
  8. 世田谷のミニチュア天国
  9. 芸術的豆本作家
  10. 高架下の画家仙人
  11. 立体読書
  12. 見えなくても、ある。
小学生のころに著者(ただいまは国分寺在住とか)が作った「机の家」は、ボクにも覚えがある。押入の中に作ったこともある。

さて。

都市のすき間には、こんないい空間(目に見えない空間)がこんなにもある、と思って「間違いはない」(高架下の画家仙人の口癖)。この本で、宝くじ売り場ハウスの秘密も初めて知った。
日本は「本当に狭いのか? 僕にはそうは思えない。人々はあくせく働いても狭い住宅にしか住めないのに、なぜ国の建築物はあんなに巨大にできているのか」。
そして、路上生活者の家は排除されていく。路上で露店を出していた人々も追い出されていく。単純に言って、全ての人々は家を持つ権利があるはずなのだが、そこは平気で見過ごされている。 
霞が関界隈には「国有地に付き立入禁止」という面妖な看板がある。


わたしたちの島で』に出てくるスニッケル荘(スニッケルは指物屋の意味)、なぜ居心地がいいのか、その秘密がわかった気がした。

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...