坂口恭平『TOKYO一坪遺産』集英社文庫。
もくじ
- 仮想野球場:二人で野球をするための分身術
- 隅田川の0円ハウス:人体の延長線上の家
- 宇宙の缶詰
- 隙間芸術:中野のパーキングガーデン
- 東京駅のエアポケット:パラソルの下の靴磨き屋
- 現代の楽市楽座
- 歌舞伎町のオートクチュール宝くじ売り場
- 世田谷のミニチュア天国
- 芸術的豆本作家
- 高架下の画家仙人
- 立体読書
- 見えなくても、ある。
さて。
都市のすき間には、こんないい空間(目に見えない空間)がこんなにもある、と思って「間違いはない」(高架下の画家仙人の口癖)。この本で、宝くじ売り場ハウスの秘密も初めて知った。
日本は「本当に狭いのか? 僕にはそうは思えない。人々はあくせく働いても狭い住宅にしか住めないのに、なぜ国の建築物はあんなに巨大にできているのか」。
そして、路上生活者の家は排除されていく。路上で露店を出していた人々も追い出されていく。単純に言って、全ての人々は家を持つ権利があるはずなのだが、そこは平気で見過ごされている。霞が関界隈には「国有地に付き立入禁止」という面妖な看板がある。
◆
『わたしたちの島で』に出てくるスニッケル荘(スニッケルは指物屋の意味)、なぜ居心地がいいのか、その秘密がわかった気がした。