東京新聞で、中野京子さんが「橋をめぐる物語」を連載している(不定期だが、ほぼ月一)。ここでダンゴムシ橋(Rolling Bridge)も知った。
この連載の前に、北海道新聞で連載を書いていて、それが1冊にまとまっている。同名書『橋をめぐる物語』がそれだ。
30の橋が紹介されている。
「ゴールデン・ゲート・ブリッジ」の項で、自殺の話が出てくる。
映画「ブリッジ」の中に出てくる若者の証言が紹介されている。
一命を取り留めた若者が当時を振り返って語るシーンだ。
70mの高み、最終落下速度120km。
彼は言う。「飛び降りた瞬間、死にたくないと思った」と。
必死で体勢を取り直し、どうにか両足から落下。
別の飛び降りを目撃した少年の談も示唆的だ。彼の証言と母親の証言が異なる。母親によれば「ふつうの娘さん」なのだが、少年は「お化けのようなすごく怖いおばあさんだった」と。中野さんは少年なりの自衛本能と解釈するが、実際にそう見えた瞬間もあったのではないだろうか。それはともかく、このエピソードはインタビューの極みだ。
「事実」を確かめることではなく、そう語っていることが大事なのだから。
◆
新刊の『懸け橋(ブリッジ):オバマとブラック・ポリティクス』も気になる。ブリッジが懸け橋と訳されている。