2017/06/04

握手の魔力

伊格言(エゴヤン)さんが、講演のおまけでいくつか台湾事情を紹介してくれた。先日の同性婚の公認に加え、「死亡之握」現象がでてきた。スライドには、馬英九さんが犬と握手している写真も出てきて、当の犬はそっぽを向いている。

死亡之握(死の握手)を検索するとヒットした記事がこれ。
「第1回は、馬英九総統が握手などで接触した人に不幸をもたらすといううわさが広まっている現象を紹介します」。
https://www.ys-consulting.com.tw/news/48725.html
例外は安倍首相とか。

辺見庸が『闇に学ぶ』で、(民主政権時代の)ポル・ポトと握手したときのことを書いている。
「彼の大きな掌はマシュマロみたいに柔らかで温かかった。『手とは不思議なものだ』。候補者に握手された選挙民みたいに『私はいっぺんでポル・ポトを好感』したほどである」。

辺見の分析はこうだ。
「偉くなるにつれ、徐々にマシュマロ化していったのではないだろうか。手が変化したのだ。いったんマシュマロになった手は、じかに手をくださない。『殺せ』と指さすだけだ。指示するものの手はますますふやける」。

当のポル・ポトは、自分と同じようなふわっとした手の人を殺害対象にしていた。労働者ではないという理由からだ。

握手は、いま相手に触れる貴重な機会でもある。ネットではできないし……。

選挙運動では、候補者名の連呼と「握手」がキー。

伊格言(倉本知明訳)『グラウンド・ゼロ 台湾第四原発事故』白水社



BBC Japan「トランプ氏との握手合戦は意図的と仏大統領 あれは「真実の瞬間」

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...