「男児期待」文化の中国:改名、共感の輪
27歳女性「弟を招く」から「私の新しい人生」
朝日新聞 2020.12.26 朝刊(上海=宮嶋加菜子)
この名前で呼ばれるたび、男に生まれなかった劣等感にさいなまれてきた」。中国で、自身の名前を改名した27歳の女性に多くの共感が寄せられている。
改名したのは、浙江省杭州市の会社員、方セン(草かんむりに「千」)さん。1993年、安徽省の農村で生まれた。家族はセンさんに、「次は男児が生まれるように」との思いを込めて「招テイ(女へんに弟)(弟を招く)」と名付けた。2年後、弟が生まれたとき、家族は大喜びだったという。
方さんは小学校入学後、同級生から名前をからかわれることが多くなり、自分の名前の意味を理解していった。大学では「友人たちに男尊女卑の家庭環境だと思われるのが嫌で、自分の名前を言うのが怖かった」という。
成人後は改名手続きが可能だと知り、住み始めた杭州市で申請、18年7月に改名が認められた。
新しい名前の「セン」は「草が茂る」という意味を持つ。「生命力あふれるイメージが私の新しい人生にふさわしい」と、決めた。
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命名はいまでこそ、その子への期待や願望を込めるものとみなされているが、日本もかつてはそうではなかった。近い命名で言えば、もう、この子で最後にしたいという願望から、「末」とか「とめ」を名前に用いた時代もあった。名前はその個人のためのものではなかった。
「友人たちに男尊女卑の家庭環境だと思われるのが嫌で」に似た理由は、キラキラネームの人の中にもいるかもしれない。「友人たちにキラキラネームをつけるような家庭環境だと思われるのが嫌で」と。ただし、キラキラネームをつけるような家庭環境とはどういう環境なのか、はいろいろ。
日本は管理優先から改名のハードルを高くしているが、改名の機会はあって然るべきだ。マイナンバーでじゅうぶん個人を把握できるのだから。命名は本来、本人の権利。しかし生まれたばかりでは行使できないので、代わりに親がつけているだけ。というのが法曹界の解釈。同意する。