2011/02/17

新刊の書評と紹介

私は生まれなおしている:日記とノート1947-1963』
日記をつけることに関して。「自分を創造している」容器が日記で、将来、親しいだれかに「何度も読まれてしまう。そのことはまさしく日記や日誌の主たる(社会的な)機能のひとつだと思う」。これまで知り得なかったソンタグの思想や哲学、評論の内面を理解するためにも、本書は大きな手助けとなるに違いない(大石芳野評)。
スーザン・ソンタグ(木幡和枝訳、2010)河出書房新社

帝国ホテルの不思議
2010年10月で創業120周年を迎えた帝国ホテルに働く「職人」30人へのインタビュー集。泊まるのが楽しくなる。装丁も美しい。村松友視(2010)、日本経済新聞社

『人間はガジェットではない』
データ化する人間、データベース化する人間。ジャロン・ラニアー(井口幸二訳、早川書房)

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...