2011/04/21

伝説・伝承から考古学を読み解く

桜井先生から『歴史に語られた遺跡・遺物:認識と利用の系譜』をいただいた。

「痕跡」に関心を持ち始めた頃、彼がコラムを朝日の夕刊に寄せていた。それ以来、桜井さんの研究が気になっていた。考古学とはもともとそういう学問なのかもしれないが、遺跡や遺物は、発掘された時代によって、その意味や解釈が変わる視点は門外漢には新鮮だった。本書は、彼の学位論文であり、ということは研究の集大成である。

前著の『モノが語る日本の近現代生活:近現代考古学のすすめ』は、書名通り、近現代を扱った本で、今和次郎の考現学に通ずるものがあり、考古学ファン以外でも楽しく読める。

★タイトルは帯に書かれていたフレーズ。


フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...