「痕跡」に関心を持ち始めた頃、彼がコラムを朝日の夕刊に寄せていた。それ以来、桜井さんの研究が気になっていた。考古学とはもともとそういう学問なのかもしれないが、遺跡や遺物は、発掘された時代によって、その意味や解釈が変わる視点は門外漢には新鮮だった。本書は、彼の学位論文であり、ということは研究の集大成である。
前著の『モノが語る日本の近現代生活:近現代考古学のすすめ』は、書名通り、近現代を扱った本で、今和次郎の考現学に通ずるものがあり、考古学ファン以外でも楽しく読める。
★タイトルは帯に書かれていたフレーズ。