2011/11/17

卒論の進め方1:質問紙の構成

 2011年8月、mixiの日記に書き貯めていたものの転載(+マイナーチェンジ)です。タイミングとして、4年生には遅すぎ、3年生には早すぎかもしれませんが。全体は、卒論の進め方、卒論の書き方の二部構成で、今日は前者の1回め。

《社会心理学研究における質問紙の構成》
 基本的に、以下の3部構成とする。ボリュームは、あえていえば、1が7割、2が2割、3が1割といったところでしょうか。

 1.当該テーマに関する設問(先行調査からの引用とオリジナル項目)
 ・先行研究との比較が可能になる(研究に連続性が生まれる)
 ・失敗を避けられる
 ・社会調査協会サイトが参考になる(http://www.jasr.or.jp/online/links.html)

 2.当該テーマに関連する心理尺度(『心理測定尺度集』などから)
 ・社会心理学では、どんな人が(個人の記述)に関心があるので、その「どんな」を訊く設問が欠かせない。
 ・心理尺度を導入することで、単なるアンケートと異なることが回答者に伝わる
 ・伊藤崇さん作成の『心理測定尺度集Ⅰ〜Ⅵ』所収尺度まとめ【完全版】が参考になる(http://finnegans-tavern.com/hce/scales.html)

 3.フェースシート
 ・あれもこれも訊くのではなく、当該テーマに関連しそうな項目に絞る
 ・回答者のイメージが浮かぶような基本属性を含める(例、学年、性別)

・設問の配列も、これを原則とする。
・聞かれたくないようなことは設問に含めない。
・質問紙の冒頭に置く前文には、以下の要素を含める―調査タイトル、調査のねらい、協力依頼、調査票の取り扱い、調査者名(連絡先)。

2019年7月14日改訂

フルネームで呼んでくれてありがとう

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