2011/11/20

卒論の進め方4:インタビューの基本

インタビュー=インター+ビュー

お互いの「ビュー」(見方、感じ方など)を突き合わせる場がインタビューだ。 つまり一方的な行為ではないし、尋問でも、聞き取りでもない。 いわば目的の明確なおしゃべりだ。

インタビュー場面の構成者は、一応、インタビュアーとインタビュイーに分かれるが、インタビュイーの話はインタビュアーに左右される。同じインタビュイーでも、インタビュアーによって出てくる話の内容が変わる。そういう意味で、インタビュー記録はその場でしかできない二人の共同作品だ。

インタビューやインタビュイーに関わることはできる限り調べてから臨む。先入観にとらわれるので、白紙の方がいいという人もいるが、そんなことはない。いろいろ知っている方が話は深まるし、先入観が修正される可能性もあり、メリットは多い。

インタビューでは、相手に関心をもち、それを言葉や身振りにする。自分のことも話さざるを得ない。ビューの交換がインタビューなのだから。

インタビュー記録は、完成したら相手に見てもらい、確認をとる。その際、追加や削除、修正があるかもしれない。曖昧な箇所を確認することも大事。残したい部分を消してほしいと言われたときは、どうして残したいのか、その理由を説明し、どういう表現であれば残してもらえるのか、検討しよう。

インタビューをケーススタディとしてとらえた時、特殊例の報告に過ぎないと指摘する向きもあるが、みんなそれぞれ特殊で、平均を体現した人は存在しない。

2019年7月14日改訂

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...