2012/09/23

『言葉を生きる』

片岡義男『言葉を生きる』
書名に惹かれて読んだ本だ。
田中小実昌とのやりとりが書かれている(以下、ところどころ略)。
「西伊豆でね、俺はね、ペンを拾ったんだよ、ほら」
「お前、英語が出来るんだろう。(略したくないけど、略)西伊豆でペンを拾ったことを英語でなんと言えばいいか、お前わかるか」
おそらくコミさん独特の冗談なのだ。
(女将の一言で)コミさんの冗談は成立した。
「ニシ・イズ・ア・ペン」
「お前は天才だよ」
女将の一言とは「アイ・アム・ア・ガール」。
話は、なぜペンなのか、ガールなのか、拾ったが省略されたのか、と続く。

44ページには、こんなジョークが引用されているが、悲しいかな、ボクにはわからない。片岡少年は看破。
「そうかい、ボール・ゲームへいって来たのかい、それは良かった。どうだったい、アメリカのビッグ・リーグの野球は。存分に楽しめたかい」という知人の言葉に対して、「それはそれは、感激しました」と、少年は純真に言う。「試合が始まる前にみんなが立ち上がり、いっせいに僕の名を呼び、ホセくん、見えるかい、と訊いてくれたのです」

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...