2012/12/08

車内で文庫

新幹線の中で、小倉昌男の『経営はロマンだ!』を読んだ。小倉さんは宅急便の生みの親。本の中で、成果主義にふれられている。

このころ、管理職の人事評価は「人柄」を基準にすべきだと思うようになる。成果主義は考え方としては正しいが、測定が難しい。ある時期に上がった成果が現任者の功績か、前任者の種まきによるものなのか、はっきり分けられないからだ。それなら「誠実」「部下の面倒見がいい」といった人間性を重視した方がいい。これが企業風土になれば客に対しても誠実な社員が増えるはずだ。

彼は遠慮して書いているが(オリジナルは日経の「私の履歴書」)、実は成果主義をよしと思っていないのではないか。成果をある個人に還元することがいかに奇妙なことか、そして、できないことをあたかもできるかのようにする主張は、結局、成果を呼び込まない。むしろ、弊害の方が大きい。
小倉さんは引退後、スワンベーカリーの創業はじめ、障害者福祉の世界をスイスイ泳いでいる。

長野駅に着くと、駅前の電光掲示板は2度を示し、空からは雪が舞い降りている。今夜から大雪になるらしい。

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...