「わたしの名前は、三度変わっています。父から貰った名前がルイズ。父母が殺されたあと、祖父によって留意子と変えられ、その名で育ちました。ルイと名乗るようになったのは、敗戦後のことです」自分の名前の由来を知ったのは「五十歳の坂を越えて」。以下は父親が残していた命名譚。
……こんどの子は、僕の発意で、ルイズと名づけた。フランスの無政府主義者ルイズ・ミッシェルの名を思ひ出したのだ。彼女は……勇敢であつたが、しかし……情愛の持ち主であつた。が、うちのルイズはどうなるか。それは誰れにも分らない。きのう「帯に引かれて」読んだ本の中に松下竜一が出てきて、プライミングされ、彼の著書を検索。検索結果の中に『ルイズ—父に貰いし名は』という本があった。気になって図書館で借りた。
その本の冒頭に出てくるのが最初に引用した文章だ。
由来を知って、彼女は、
「うちのルイズはね、あまり勇敢には生きてきませんでしたのよ……」と小声に出して答えてみた。彼女は大杉と伊藤の間に生まれた4番目の子ども。
まだ、冒頭の数ページ。
参考 同伴者の本棚