私たちは災害は外から来る、外から襲われて傷を受けるというようなイメージを持っていますが、私は都市というのは初発の段階から危機を抱え込んでいると思うのです。そのことを忘れ、行政が問題を外部化して、自分たちの危機とは思っていないんですね。
近世都市には恒常的に地震や大火があり、荒れた土地は潰れ地、なだれ地などと呼ばれて、日常的に意識されていました。近世はまだ都市に内在する荒れ地性や危機のリアリティがうまくキープできていた時代ではないかと思っているんです。地震は外から来る自然現象でも、災害は自然現象ではない。
『図書』12月号もくじ http://www.iwanami.co.jp/tosho/