彼のキーワードはDifference(差異)。
「他の場所とのDifferenceは、ある程度の類似があって初めて効力を持つ」
一般化すれば、差異が意味を持つためには一定の類似が欠かせない。違いすぎたら、「差異」ではない。
差異こそ文化の源。
「至る所が同じでは感動がない」
だから彼は、まったく同じものに戦いを挑む。同じものは文化を生み出さないからだ。
「ある場所のアイデンティティを問うデザインは美的観点から重要というだけでなく、それが人間の深い欲望に沿ったものであるという点からも重要である」
省エネに対する態度も明確だ。
「省エネハウスは効率を重視する。しかし、住宅は機械でなくてよい」。
彼は、福島以後、いっそう関心を持ち、省エネに取り組んでいる。しかし彼のやり方は違う。ソーラーパネルのような装置を用いないで、設計だけで省エネを実現しようとする。
「住宅は機械でなくてよい」は、ボクの持っていた違和感を解消してくれた。
彼にとって、建物は人が集い、「できごとを可能にするもの」。もちろん家も。
町も彼は作る。
追悼するのは残された人、生きている人。霊安所は、この世とあの世の接点。だから、家々と教会の間に建設する。外見も、家と教会の中間。白く四角い。こうすることで、生きている人は「死が怖くなくなる」。
自宅のあるフリン(Vrin)村は人口250人の集落。
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講演会の前に「食堂もり川」のカキフライ定食で腹ごしらえ、「まんさだ」で野菜ジュース。まんさだのレジスターは年代物。数字の表示部分に「円」と「銭」の単位が見える。が、現役。
終了後、新潟へ。