久しぶりに懐かしい2文字を目にした。
KK。
いつから使わなくなったのだろう。
気がついたら、使われなくなっていたという感じだ。意味がわかるのは何歳以上の世代だろう。
KKは株式会社(かぶしきかいしゃ)の略。いまなら、さしずめ(株)というところか。
出ていたのは、獅子文六の『コーヒーと恋愛』。原題は「可否道(かひどう)」。1963年発行。もとは新聞の連載小説。
以下は、ご本人のあとがき。
後半1/4は苦闘だった。病苦で、1回分を書くとグッタリ。こんな苦労して書いたのは初めて。古稀の老人には無理だったのかもしれない。新聞小説は五十代まで。それにしても、コーヒー小説はコリた。
登場人物の名前もいまや渋い。モエ子、勉(つとむ)、貫一、ミヤ子、アンナ(これは意外だ)、……。
洋行、インテリ、ミーちゃん、ハーちゃん、……かしら、と出てくる単語、言葉遣いが50年前にタイムスリップさせる。経験している時代だから、ね。