2016/01/17

「ご」に「ついて」

 帰宅したら、ある雑誌から読者アンケートの結果が届いていた。

・ご興味あることについて
 アート28%、旅行31%、……
・ご性別について
 男31%、女性69%
・ご年齢について
 10代0.3%、……
・ご職業について
 会社・団体職員75%、……

 一瞬、目を疑った。ここまで「ご」を使うのか。いくらなんでもやりすぎ。「ご」なしでいいじゃない。
 ついでにいえば「について」も過剰。なんでも「について」を付けると、もっともらしくなる。人気が高く、議題一覧の紋切り表現である。「アンケート結果について」という具合だ。「アンケート結果の報告」の方がわかる。

 読者アンケートの結果は、
・興味あること
・性別
・年齢
・職業
で十分ではないか。こういうところまで気を使わないとしたら、コミュニケーションなどできっこない。したくなくなる人も増える。
「させていただきます」という言い回しも増殖。寛容度の低下が拍車をかける。

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...