2016/01/09

「誰かを家で看取る」経験をどう引き継ぐか

PONTOON」で、三砂ちづるの連載が始まった。
どきっとするタイトルだ。
「人は生きてきたままに死んでゆく」

第1回「家での看取り」
 夫(金蔵、1947年生まれ)を看取ったところから始まる。
「しもの世話」までして介護。要は赤ん坊の世話と変わらない。と書く。金蔵さんは幸い、亡くなるまで自力でやっていたという。ボクは、やっているうちに、いかに手際よくするかが目標になり始めた。ことを思い出した。

おもしろい話が紹介されている。テーマは三世代の記憶。
「おばあちゃん、おかあさんが母乳哺育をしないと、その娘はなぜだかわからないけれど母乳が出ないことが多い。『理由がありません』と助産婦さんは言う。『本当に大変なんです』と。もちろん三世代目でもおっぱいが出る人もおられるが、実際にはけっこうたいへんだというのだ。三世代目になると、からだの記憶があいまいになっている。言葉で継承されるのではなくからだで受け継がれる身体知のようなものは三世代で失われる、というのだ」。
哺育がここまで社会的とは思いもしなかった。三世代関係をどう維持するか。
自宅の近くに、新田國夫さん開業していたことも彼女にとって幸いだった。