ただし表示物は「発音できる」ことより「理解される」ことが優先される。たとえば「〜大学」の駅名は、固有名詞として定めたとしても「〜 Daigaku」とローマ字でつづるより、「〜 University」と英語でつづる方が、外国人に理解されやすいことは知っておく必要がある(日本サインデザイン協会編『伝えるデザイン』)。
カタカナやひらがなで発音がわかったとしても、意味はわからない。しかも、その発音にしても原音の再現ではない。あくまでも原音風にすぎない。それにもかかわらず、日本ではルビをローマ字にしただけのものが大半を占める。固有名詞だからということなのだろう。。とりわけ悲惨なのがバス停の表記。Kitazawa 1-chome、Minami Shogakkoと示されても、何が何やら。そもそも、これらのアルファベットが、たとえばキタザワと、こちらの期待どおりに読まれる保証はない。1-chomeに至っては、発音もメチャクチャ、理解もされない。
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地下鉄の路線図は見やすい。原型はロンドン地下鉄のそれ。しかも、ロンドンも営団地下鉄(現、東京メトロ)も、デザイナーが持ち込んだもの。ロンドンではハリー・ベックが(1931年採用)、東京では河北秀也が(1972年正式採用)。