2016/07/21

言い換え

吉野孝雄『外骨戦中日記』河出書房新社。

 8月14日の欄に「降伏」とある。放送は翌日だから、後になって記されたとも。それはともかく「降伏」。ちなみに永井荷風は「戦争停止」「休戦」。

「日本の敗戦の日を正確にいうなら」「ミズーリ上で降伏文書に署名した」「9月2日ということになるだろう」。

 こうした言葉の言い換えについて、中島健蔵は「ポツダム宣言受諾とは、無条件降伏を意味し、敗戦を意味するにもかかわらず、『終戦』といいくるめるようなどうにもならない体質は、そのまま残っているのである。そういう体質を改めようとする努力に対しては、依然として根強い抵抗が、亡霊のように、『雨過天晴』の日本の上空にただよっている」と書いている。

 吉野曰く「それは現在も続いている」。そして、それらを支えるのは政府だけではない。
 撤退→転進、全滅→玉砕、事故→事象、ヤジ→自席発言、戦争→有事、約束を破る(例:再延期)→新しい判断、とゾロゾロ。