2016/10/18

『プロパガンダ・ポスターにみる日本の戦争』

図書館の新刊コーナーで見かけた本だ。

 目次を見ないまま、パラパラめくっていると、「長野県」という文字が飛び込んできた。

「軍都としての長野県」

 満州開拓団を最も多く送り出した県であることは知っていたが、軍都とは知らなかった。出身者として気になる。

「勇士」の「防寒衣」になる羊毛を生産するため、日本でも養羊が行われ、長野県はなかでも盛んな県だった(このことも知らなかった)。寒冷気候、隣接する愛知県が毛織物工業が盛んだったことが大きかったという。ただし「満州に展開していた陸軍歩兵第50聨隊が松本を本拠地にしていたこと」「生糸に代わる安定的な新産業を模索していた地元の商工界が、軍需の見込める養羊」を重視していたことも「忘れてはならない事実である」。

 まえがきから読み始めた。この本にあるポスターが、実は長野県阿智村の原家に残されていたものだった。裏が無地のポスターは再利用されたり、小包用包装紙として転用されたりして、ほとんど残っていないらしい。


阿智村「満蒙開拓平和記念館


フルネームで呼んでくれてありがとう

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