(東京新聞、2016年10月12日 朝刊、以下は抜粋)
女性は控訴する方針(原告側代理人は早坂由起子弁護士)。
判決は、戸籍姓を「戸籍制度に支えられ、より高い個人の識別機能がある」と指摘。「職員を識別、特定するものとして戸籍姓の使用を求めることに合理性、必要性が認められる」とした。旧姓使用を認めない学校側に違法行為はないとした。
昨年12月、最高裁大法廷(裁判長、寺田逸郎長官)が夫婦同姓を定めた民法規定が憲法違反かどうかが争われた訴訟の判決で、合憲と認めた上で「結婚前の姓を通称として使うことまで許さないものではない」と指摘。旧姓の通称使用が社会的に広まっていることを踏まえ、「改姓した側の不利益は女性が受ける場合が多いが、旧姓の通称使用が広まることで一定程度緩和できる」との見解を示していた。今回の地裁判決はこれと齟齬を生じた形となり、原告側は「社会の動きに逆行する判決だ」と批判している。
日本大学第三学園の高瀬英久常務理事は「主張が裁判所に理解されたと評価している」。
■発想としてあるのは管理のみ。個人の尊厳を無視した「識別機能」「合理性」という事由はやるせない。「必要性」も含め、管理者(為政者)に都合のよい判決。裁判所の判決は判例主義ではないのだろうか。