それまで彼のことを知らなかった。カバーの写真付き紹介を見ると、お坊さん。若い。いま38歳。
「本の窓」の連載で、彼のエッセー「思いこみの突破法」を初めて読んだ。第16回の思いこみテーマは「『上から目線』の物言いはけしからんもので、反発して当然だ」。
小見出しから、彼の主張が伝わってくる。
・受け手の傲慢さが「上から」「下から」を決める
本人が謙虚であれば、他人が少し高慢な言動をしても、相手の意見に耳を傾ける。「自分はひとかどの、敬意をもって接せられるに値する大人物なのであるッ」が他人の傲慢さに敏感になる。これが、上から目線光線の裏メッセージ。上から目線と言う人は、相手について話していると言うよりも、自分の傲慢さを告白している。
・分からない表現がターゲットになる
わかりやすさが優先し、「分からない」は「もっと分かりやすくすべきなのに、説明不足の相手が悪い」、生意気だ、となる。相手が自分のためにすべてを分かりやすく説明してくれるべきだと、尊大な思い込みをしている。ターゲットになる表現の主は何かしらの見識を持っている人が多い。そうした人を評価する際「同じ目線で話してくれる」と好感を抱く人がいる。この裏メッセージは「この立派な私に対して、へりくだってくれるので慢心を傷つけられずに済んでうれしい」。
・自己の慢心に気づく大きなチャンス
「自分はいったい相手の何をそんなに受け止めたくないと躍起になっているのだろう」。形式にとらわれ、内容に目がいっていなかったことに気づくチャンス。むしろ自身の成長や更新のチャンス。
「そんなわけですから、上から目線? べつに、いいじゃないですか!」
■
外国に行ったら、日本書コーナーを見て回る。どんな本が置かれているか、そこから日本を見る。特にアジア圏は日本に関心を持ってくれているから、点数も多く、参考になる。