2017/03/01

大学の姿

大学はすべて芸大がいいかもしれない。と思わせる『最後の秘境 東京藝大』。

いまや学内に産学連携センターができるほどの状況だが、浮世離れしていてこそ大学。と思う身からすると、芸術系大学を最後の秘境にしたら、まずい。

「学芸」arts and sciencesとは言い得て妙だ。日本では、これを教員養成系大学の名称に適用してしまったために、狭く解釈されているかもしれないが、学芸、芸学の発想は大学にふさわしい。大学で無理なら、学部レベルで実現する。

名前の話が出てくる。

「ある時、坂本龍一さんの曲を知って、名前が同じということもあって、憧れたんですね。それで今は作曲家を目指しているんです。夢は大きく、アカデミー作曲賞を二回取ること、って思ってます」。1度だけでも大変だが、2度受賞者は最近でもいる。

ハワード・ショア(「ロード・オブ・ザ・リング」と「王の帰還」)グスターボ・サンタオラヤ(「ブロークバック・マウンテン」と「バベル」)

歌手→小説家→お笑い芸人→ピアニストと「迷走」してきた、作曲科3年の小野さんの話。



インタビューの教科書にもなっている。抽象的質問では抽象的答えが返ってくる。そこを著者はつっこんだ質問をする。

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...