2018/10/30

スウェーデンの名前の日

 ウェーデンには、その人の誕生を祝う機会が二回ある。誕生日と名前の日である。

 以前、ポーランドの人にインタビューしたとき、むしろ後者のほうが盛大にお祝いすると聞かされた(大人になると、こちらしか祝わない場合もあるらしい)。親はカレンダーに印刷されている守護聖人の名前リスト(毎日十ぐらいの名前が載っている)を見て、その中から選んで決める。子供の誕生日でもいいし、それ以外でもいい。

 名前の日とは自分と同じ名前の守護聖人*の祝日である。その日、(家族で)どんなふうに祝うのか、わからなかったが、偶然、カール・ラーション展で「命名日のお祝い」を見て、雰囲気を知ることができた。1899年の作品なので、現在とは違うかもしれない。

 右の女性が祝われる人(カーリン:カールの配偶者)で、真ん中がカール。それ以外は娘たちだろう。カーリンが(奥にいる末っ子とともに)ベッドにいることからわかるように、この日は朝から祝うようだ。

 守護聖人がいれば安心だ、安全ではないかもしれないが。

* 守護聖人【patron saints】キリスト教世界において,特定の団体,教会,都市,国などを保護すると考えられた聖人のこと。多神教世界が一神教としてのキリスト教と接触する過程で生じたのが守護聖人崇拝である。ヨーロッパでは,ゲルマン地域はもとよりすでにローマ化されていた地域も含めて異教的伝統をのこす世界では,子どもの誕生,結婚,葬儀などの人生の節目や,農耕における播種と収穫,その他病気や災難にみまわれたときなどにさまざまな儀礼があり,それぞれの生活領域に固有の神々がいた。
(平凡社世界大百科事典 第2版から)