「ロシア戦勝記念イラスト 独の侵攻思わせる右矢印に与党激怒 左に修正」
2019年12月27日 東京新聞夕刊
▲撤回された当初の戦勝記念日デザイン。右矢印に政治家らが反発した
▼左矢印に修正され決着したデザイン=いずれも小柳悠志撮影
【モスクワ=小柳悠志】第二次世界大戦終戦から来年で75年を迎えるのを記念し、ロシア政府が使用する公式戦勝イラストが、発表直後に変更された。ナチスドイツの侵攻を思わせる矢印のデザインに、政治家らがかみついたためだ。
ロシアのデザイン会社が制作した記念イラストは、右向きの矢印とともに旧ソ連兵が進軍する様子が描かれた。だが第二次大戦は西から攻め込むドイツ軍を東のソ連軍が迎え撃つ構図。右矢印はドイツ軍を示すことになると受け取られた。
今月中旬、このイラストが公式サイト上に掲載されると、与党議員の一人が「デザイナーは害敵だ」と会員制交流サイト (SNS) に書き込むなど騒動に。数日内に矢印が左向きの新しいイラストに差し替えられた。中部ウラル地方の通信社がデザイン会社に騒動についてのコメントを求めたが、回答はなかった。
ロシアは、フランス皇帝のナポレオンによって1812年に侵攻されて以来、西欧国家の東進に警戒心を抱いているとされる。プーチン大統領も北大西洋条約機構 (NATO) の東方拡大に懸念する発言を繰り返している。
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矢印の向きが絶対的なもの、この場合は右向きが東向きと解釈された例。背景の地図と矢印がリンク、だから地図がなければ、騒ぎにならなかっただろう。もし、地図がなかったらどうだろう。その場合は右向き自体、左向き自体の持つ意味が顕在化する。グラフの横軸、つまりX軸を考慮すると、右向きは前進、左向きは後退(右利きも関係しているだろう)なので、最初のデザインで受け入れられたのではないだろうか。