この人形は「こっぱ人形」と呼ぶらしい。こっぱは木片。切れ端で作る小さな人形。それをつい最近知った。きっかけは、上田市立美術館(サントミューゼ)の展覧会「農民美術・児童自由画100年展」(2/24まで)。よく似た人形がそのポスターに写っていたからだ。
以下はチラシからの転載(手抜きご容赦あれ)。
1919(大正8)年、版画家・洋画家として知られる山本鼎(1882-1946)が始めた「農民美術運動」と「児童自由画教育運動」。似たようなこっぱ人形を見たく、上田へ出かけた。今回、コースの参考にしたのは日曜美術館のツアーガイド。意外な出会いもあった1泊2日のコース(お勧めは木金か、金土)。以下は、その備忘録。
農民の手工芸品として始まった「農民美術」の生産は、大正から昭和初期にかけて一時全国に広がりました。現在は、長野県上田地域の伝統的工芸品として定着し、白馬・大町など県内各地にも影響を及ぼしました。
一方、正確な模写を評価する大正期の学校教育を打破し、子どもたちの創造性に着目した「自由画」の理念も、今日の図工美術教育の基礎として受け継がれています。
本展は、100年を迎えた両運動の果たした意義を見つめ直し、今後の可能性を探ります。
山本はキリンビールのあのキリンの模様の細かいラベルを彫った職人だ(版木に木口を使うと、細かく彫れるのだという)。与えられた絵を彫るだけ(誰にでもできる仕事ではない)の日常に耐えられず、創作版画に取り組む。上田市に戻る前は自由学園で教師もしている。
彼の作品には、荒々しさと繊細さが同居する。だからスゴい。迫力がある。
こっぱ人形はどうやら、農閑期の収入源でもあったらしい。当初、話題を呼んだが、第一次世界大戦が始まったことで、その夢は潰えてしまった。現在も、こっぱ人形を作る人がいて、ミュージアムショップでは一体7、8,000円。当時はいくらぐらいしたのだろうか。
美術館では、タイアップするように、子供たちの作品展が2つ開かれていた。一つは地元の小中学校生の作品展「第34回 上小地区児童生徒立体等作品展」。
「大正から昭和にかけて40年余にわたり上田彫塑研究会を指導した石井鶴三の功績にちなみ、上小地域の小中学生が学校の図工・美術の授業で制作した立体作品を展示します」。
※上小地区の「上」は上田市、「小」は小県郡(長和町, 青木村)。
もう一つは巡回展「わたしの「ふる里自慢」絵画コンクール」入賞作品展。
どちらも好きな作品が多く、観ていて楽しかった。ただ一点気になったことがあった。「上小地区児童生徒立体等作品展」で見た戦艦と戦車の模型作品。作者のコメントがなく制作意図は不明だが、批判的扱いでもなく。これを選んだ先生はどう評価したのだろう。
上田駅周辺の行きたい場所(ガイドブックであまり紹介されない場所を中心に)
- 小宮山量平の編集室 ※火曜日休館。彼も児童画にかかわったが、山本鼎との交流はなかったという。小宮山は1916-2012。かたや山本は1882-1946。
- みすゞ飴本舗 飯島商店 ※年末年始休業。種類が多く、買うのに迷う。
- ホテル祥園 ※入浴のみ可。
- 海野町商店街 ※「うんのまち」と読む。多くのお店は火曜日が定休日、水曜も休むお店がある。いくつかの商店にポエムがかかげられている。これについては機会をあらためて書きたい。
- アライ工芸 ※木曜定休。1階で販売、2階が展示スペース。
- バリューブックス ※旧北国街道に面したリアル店舗。OPENは金・土・日・祝日。古紙になる直前の本が格安で手に入る。雑誌はすべて1冊50円。文庫・新書は3冊で100円。
- ルヴァン信州上田店 ※パンとカフェ。水曜定休。そのほかときどき休み。東京の代々木に富ヶ谷店がある。
- ツルヤ上田中央店 ※地元の野菜と果物が豊富。
- お蕎麦屋さんは駅構内からはじまって駅前、その先の松尾町商店街といくつもある。たぶんどこも美味しい。違うのは、蕎麦つゆの仕上がり。そして天ぷらの上がり方。でも、それは入ってみないとわからない。
上田はいい街だ。個性の強いお店にも事欠かない。毎日おそばをはしごすれば、一ヶ月は過ごせる。
