2020/11/13

同名の「よしみ」で実現するか

東京新聞 朝刊1面コラム「筆洗」11月13日付

ワンマン宰相、吉田茂の少し年下に、同姓同名の吉田茂がいた。内務官僚として要職を歴任し、厚生大臣なども務めた人物だ。周囲の勘違いや郵便物の誤配などが相次いだそうだ。贈り物が生ものなら、あちらの吉田宛てでも受け取っていいという約束が二人の間にはできたのだという(塩沢実信著『人間吉田茂』)▼本来無関係であるはずの人と人に、新たな関係をもたらすのが同姓同名のよしみであろう。音読みで「ばいでん・じょう」となる熊本県山都(やまと)町の梅田穣(ゆたか)町長が、ジョー・バイデン氏の米大統領選勝利の際に話題になっていた。ほほえましいニュースだったか。思わぬつながりを米メディアも報じている▼初の女性副大統領となるカマラ・ハリス氏には、「ぜひ嘉間良(かまら)へ」の声が、沖縄県沖縄市嘉間良であがっているそうだ。“同名”の方の陣営の勝利に、地区は盛り上がったらしい▼米軍嘉手納基地に近接する土地という。将来の副大統領には、これを機に基地の問題を知ってほしい、と願う住民の声を地元紙の琉球新報*が報じていた▼新政権は中国に対し厳しい姿勢を維持するともみられている。基地問題に影響や変化はあるか、沖縄のみにとどまらず大きな注目点である▼基地をめぐる声や思いが届くのなら、いい縁になるかもしれない。実際に来るかどうかは別にしても、大切にしてほしい同名のよしみである。


*琉球新報 2020年11月10日 05:20

「カマラさん、ぜひ嘉間良へ」 沖縄市嘉間良、米副大統領候補と同名で注目

【沖縄】米副大統領就任が予定されるカマラ・ハリス上院議員のファーストネームと読み方が同じ沖縄市嘉間良の公民館に9日、新聞やテレビ局などから取材申し込みが相次いだ。自治会長の普久原毅さん(61)は「嘉間良の歴史を皆さんに知ってもらう機会になれば。ぜひカマラさんに嘉間良に来てほしい」と呼び掛けた。

 公民館の電話がひっきりなしに鳴る中で、普久原会長は「カマラさんが副大統領候補になった時には『同じ名前だね』と驚いた。バイデン氏が激戦を制してから急に注目され、ちょっと戸惑っている」と笑う。

 玉城デニー知事が自身のツイッターに、ハリス氏を沖縄に招いて「各国の女性リーダー的方々のサミットを沖縄で開催したい」と投稿したことについて、普久原会長は「嘉間良公民館でサミットを開いてもらえたら」と要望した。

 嘉間良は戦前、畑と数十軒の住宅があるだけの農村だった。終戦後は米軍キャンプに隣接して収容地区が造られた。越来村役場が設置されるなど都市化し、人口は一時5千人を超えた。現在は米軍嘉手納基地に隣接した住宅街だ。

 嘉間良に住む女性(62)は「沖縄の人も差別に遭ってきた。今も基地や貧困の問題がある。副大統領になったら嘉間良に来て米軍機の騒音を聞いてほしい」と願った。


加藤官房長官も言及(琉球新報 2020年11月10日16:58)

【東京】加藤勝信官房長官は10日の記者会見で、米副大統領就任が予定されるカマラ・ハリス上院議員と沖縄市嘉間良の地名の読み方が共通していることについて、「読み方が同じというのは一つの縁ではないかと思う」と述べた。