メールボックスにときどき投げ込まれる新聞がある。春風社の「春風目録新聞」というPR紙だ。
その中で、白井聡さんが「ポストモダンの処方箋」と言う連載を書いている。6回目の今号は「消費と連帯」。
その中に「疎外」という言葉が出てくる、ファストフード店の店員とのやりとりがもたらした不快さにふれて。
「Sサイズのコーヒー下さい」
すると、急いでいる彼に
「かしこまりました。ご一緒にアップルパイはいかがですか」
「いらない」
「失礼しました…」
もっと引用しないと、彼の趣旨は伝わらないのだが、力尽き、これだけ(実は上記部分も少しカットしている)。
これを読んで、常々不快に思っていることの正体がクリアになった。
さまざまな自動音声だ。
たとえば、駆け込む人がいないのに、「駆け込み乗車は危険ですので、おやめください」。しかも2度繰り返される。電車が入ってくる前に流れ終わってしまうこともある。駆け込みそうな人の耳には届いていない。そりゃそうだ。自分の行為を見咎めての声ではないからだ。どうせ流すのであれば、「駆け込み乗車による怪我は本人の責任です。また、それによる遅延に対しては損害賠償を求めます」にすべきだろう。
話が脱線したが、こうしたパッションのないアナウンスが私(たち)を不快にさせるのは、物理的な問題と同時に、私(たち)が疎外されていると感じるからだろう。提供者と利用者という分断も「疎外」に含まれる。立場はいつでも変わるし、どちらも生活する人に変わりないのに。
この疎外という言葉の用法を思い出させてくれたのが白井さんの論考だった。
★おまけ こんな報告もある。「米国で発表された報告によれば、騒音の影響は社会行動にも及びうる。実験の結果、たとえわずかな騒音でも、被験者の不安感を増し、援助行動の発生率を低下させ、敵対行動の発生率を高めるおそれがあるという」(「騒音が死因に?音と健康の意外な関係」より)。
2011/01/15
フルネームで呼んでくれてありがとう
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