2013/10/12

音楽浴

九大に北山修がいたからなのだろうか。と思うぐらいに、博多の紀伊國屋書店は精神分析コーナーが充実している。心理学書も多く、それと同じぐらいの本が並んでいる。「春秋」と「scripta」を頂戴する。

「きらめき」で小倉に向かう。普通車なのにグリーン車のようにゆったりしている。降りる時に気づいた。コンパートメントがあったのだ。残念。

小倉駅に着くと、いきなりフォルクローレが聞こえてきた。構内で生演奏。明日の公演の宣伝も兼ねているのだろう。ボクも高齢者と一緒にパイプ椅子に座って鑑賞。フォルクローレを聞くと、いつもアンデスの光景が目に浮かぶ。コンドルも。

道路に降りようとすると、今度はハワイアンが聞こえてきた。生バンドをバックに子供と大人がフラダンスをしている。フォルクローレも聞こえてくる。ハワイアンとのフォルクローレ、不思議な組み合わせだ。

宿に荷物を置いて、あの旦過市場へ。とうとうやって来た。まず水上にあることを確認。川は汚れているが、魚が泳いでいる。それをじいーっと見ているおじさんがいる。

規模は鶴橋ほどではないが、こちらはジャパニーズタウン。で、少しおとなしめ。

和菓子屋さんで小さな蒸しパンを買った。黒砂糖風味で、レーズンとサツマイモの2種類。1個70円で3個入りを。

大學堂はその近くにあった。T先生の教え子(Ph.D.)が店番をしていた。さっきの蒸しまんじゅうとお茶で、おしゃべり。川にはカワセミも来るという。帰り際、今夜、門司港でコンサートがあって、T先生も行くそうですよと教えてくれた。

急遽、門司港へ向かうことにした。電車で15分ほどとか。まったく行き当たりばったりだ。

門司港駅はレトロを強調していて、ホームもシンプルそのもの。すっきりしていて気持ちいい。駅員の言葉遣いが妙に丁寧。

駅舎を出ると、すぐに潮の香りが飛び込んできた。ちょっと横浜港に近い雰囲気だ(1922年築)。薄暗くなった駅前から、人に尋ねつつ、旧岩田酒店へ。味わいのあるレンガの建物だ。まだ誰も来ていない。入場者名用紙も一番うえに名前やらを記入。

チラシに「土曜酒造コンサート」と書かれている。プロフィールを見ると岩田さんは同年齢だ。そのことを告げると、子供時代の写真を見せてくれた。レモン歯入りのほうじ茶とチョコレートをいただいていると、I先生たちがやって来た。

「お店を畳んだのは11年前。こうしてピアノを弾き、歌っていると、かつてここで働いていた人たち、その人たちの多くは鬼籍に入っている。その人たちへの鎮魂歌を歌っているような気持ちもします」。

プログラムはお客さんに合わせての気ままな構成。結局、今日はショパン、モーツァルト、ベートーベンの歌曲。セレナーデ、アヴェマリア……。詩の大半はゲーテの作詞。来し方行く末も考えながらの2時間となった。

駅前で遅めの夕食(お寿司)をとって乗車。路線図を見ていたら、車掌さんから「どちらへ?」とたずねられた。これがきっかけでしばらくおしゃべり。終点に着くのは日が変わる頃とか。「私は博多で交替です」。

JR九州は車両が楽しい。駅員も雰囲気がいい。けど、車内も構内も案内放送がにぎやかすぎる。全面降伏。水戸岡さんはどう思っているのだろう。

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...