2014/04/01

入学式

前日の名残りか、「感謝」で落涙(リンク先は坂崎幸之助版)。

誰が言ったのか、にわかに思い出せないのだが、「死ぬ」とは向こう側に「行く」ことではない。元の場所に戻るだけだ、と。
そう言われてみると、得心がいく。
ある日、向こうから命がやってくるのだから。
だから悲しむことではない、と。

その命について、井上ひさしは「きらめく星座」の中で広告文案家(コピーライター)、竹田慶介にこう言わせている。「人間広告」だ。時代は戦争直前の1940〜41年。
ぼくは、広告文案家です。いま、誰かから「人間」という商品の広告をたのまれたとします。さあ、ぼくはどんな広告文を書けばいいか。
おそらく「人間」を宣伝する文案は、こう書くしかないんじゃないでしょうか……。
この宇宙には4千億もの太陽が、星があると申します。それぞれの星が、平均10個の惑星を引き連れているとすると、惑星の数は約4兆。その4兆の惑星のなかに、この地球のように、ほどよい気温と、豊かな水に恵まれた惑星はいくつあるでしょう。たぶん、いくつもないでしょう。だからこの宇宙に地球のような水惑星があること自体が奇蹟なのです‥‥‥。 
水惑星だからといって、かならず生命が発生するとは限りません。しかし地球にあるとき小さな生命が誕生しました。これも奇蹟です。その小さな生命が、数かぎりない試練を経て人間にまで至ったのも、奇蹟の連続です。そして、その人間の中に、あなたがいるというのも奇蹟です。こうして何億何兆もの奇蹟が積み重なった結果、あなたも、わたしも、今、ここにこうしているのです。わたしたちがいる、今生きているというだけで、もうそれは奇蹟の中の奇蹟なのです。こうして話をしたり、誰かと恋だの喧嘩だのをすること、それもそのひとつひとつが奇蹟なのです。人間は奇蹟そのもの。人間の一挙手一投足も奇蹟そのもの。だから人間は生きなければなりません。
初演は1985年、紀伊國屋ホール。

つい先日までいた同僚が今日からいない現実。有山先生、安藤先生、内田先生、荻内先生、佐藤先生、山崎先生、吉井先生。すれ違うこともないのは寂しい。


Two more years.

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...