知らなかった。
オーストリアは、世界でも珍しい「脱原発」を憲法に明記している国家である。1999年に制定された新憲法律「原子力から自由なオーストリア」では、第2項で原発を新たに建設することと、既に建設された原発を稼働させることを禁止している。ちなみに第1項では核兵器の製造、保有、移送、実験、使用を禁止している。つまりオーストリアは、軍事利用であれ、平和利用であれ、原子力の利用そのものを憲法で否定している数少ない国の一つなのだ。
きっかけは1977年、著名な地震学者が原発の建設地の直下で地震が発生する危険性があることを指摘したことだった。「それでも原発のリスクを受け入れられるのか」。