2000年、北欧に行ったとき、ストックホルムやヘルシンキでベビーカーを押したり、子の世話をする男性をよく見かけた。列車で一緒になった父親に話しかけたら、「なんてことないよ」と。その男性は列車に乗る際、ベビーカーを畳んだり、子どもを列車に乗せたりと大奮闘していたのだ。
あれから14年、通りを歩いていても、男性が子を前に抱えている姿やベビーカーを押す姿は珍しくない。「あっ、今日も」と毎日思う。
通勤途中の電車内。向かい側に3歳くらいの女の子と父親が座っていた。父親はヘッドホンの片方を子どもの耳に指して音楽で静かに座らせようとしている。しかし、子どもはすぐに外し、引っ張って遊び始める。それが3回ほど繰り返され、父親は断念。ヘッドホンをバッグにしまう。
次に子どもを腰深く座らせようと試みる。が、すぐ、ズルズルと身体を滑らせて床に降りてしまう。5回ほど反復。
子どもと目が合ったら、ニコッ。つぎに父親とも目が合った。降り際、男性に声をかけた。
「そうかもしれないですね」と返してくれた。
(小さな)子どもとかかわる男性にインタビューをして、それを写真とともに載せたものを作りたい。書名をどうしよう。
子育てはあっという間にすぎてしまう。父親を経験させてくれている子どもと妻への感謝でもある。
◎アラビアの工場で買ったムーミンマグは毎日使っている。すごく丈夫だ。