2015/02/18

パブリックデザイン

赤瀬達三『駅をデザインする』ちくま新書

駅は矢印の宝庫。厳密に言えば、日本の駅は、である。
なぜ矢印が多いのか。
理由はふたつ。
一つは(車内放送の多さと軌を一にする)おためごかし。
二つめは、それがないと行き方がわからないから。
本書は二つめにかかわる本だ。

第5章は「日本の駅デザイン」。

  1. JR新宿駅:わかりにくさ世界一
  2. JR名古屋駅:ピントのずれた旅客サービス
  3. JR京都駅:部分に留まった第一級の空間整備
  4. 東京メトロの駅:狭隘化と過剰表示の進行
  5. 東急東横線渋谷駅:誰のための駅デザインか

渋谷駅の再開発に関して、驚きというかさもありなんといったことが書かれている。JRと東急電鉄は商売「敵」で、いっしょにひとつの快適な駅を作ろうという、パブリックデザインの発想がない。乗客にとっては、どちらも同じ鉄道なのに。共存共栄という発想が見られない。

静かな駅、張り紙のない駅、見通しのいい駅。がほしい。
「土木」の原語は、なんとcivil engineering(市民のための技術)。似ても似つかない。

フルネームで呼んでくれてありがとう

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