2015/09/24

三分の一の確率

JBBY創立40周年記念連続鼎談「子どもの本のこれから」の再録、『角野栄子さんと子どもの本の話をしよう』には、4つの鼎談が収められている。

 1 幼年童話─物語がうまれるとき
高楼方子×富安陽子×角野栄子

 2 絵本・翻訳─世界に通じる言葉のリズム
荒井良二×金原瑞人×角野栄子

 3 児童文学─会話文のおもしろさ
ひこ・田中×令丈ヒロ子×角野栄子

 4 街や自然、動物からうまれる物語
あべ弘士×穂村弘×角野栄子

 鼎談には二つの共通点がある。

1. 事前打ち合わせなし
2. 一人3つ自己紹介をする。その中の1つだけがホント。それを残りの二人が当てる。

旭山動物園の飼育係をしていたあべさん。閉園期間の冬の半年はノアの方舟みたい。動物といっしょだと言葉をしゃべる時間がない。ペットじゃないから馴らしてはいけないし。そうやってずっといると、だんだん人間でなくなってヒトになる(社会心理学的にもおもしろい)。これを25年も続けたあべさん。

5人で会議してるとする。その休憩時間に、5人の名前の頭文字をつなげると「あいしあえ」になる、とか気になる穂村さん。

欧米の言葉にはオノマトペが少ない。「サーッと」雨が降る、はshowerという動詞に変わる。日本の家屋は、外もウチ。柱族と壁族の違い、と角野さん。

ビートルズが境。それ以後、イギリスにもジーンズ。言葉の意味も変わる。「みなさん、いまの日本で使われている言葉が、これからどう変わっていくか、よーく注意深く見たほうがいい」「言葉の意味は、用心深く考えたほうがいいと自分では思って暮らしている」角野さん。



フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...