「生きていれば、うれしいことも悲しいことも、波のように繰り返しやってくる。でも、それらは自分のせいではない。有頂天のときもどん底のときも、そのことを思い出して、ちゃんと元の居場所に戻ること」。
木皿泉(キザライズミ)の連載「ぱくりぱくられし」の冒頭に引用されていた自著『6粒と半分のお茶』から。
「四十にして惑わず」と思っていたら、違うらしい。まず孔子の時代に「惑」という字はなかった。「或」ならある。不惑ではなく、不或。したがって、「四十にして或(くぎ)らず」となり、これは「四十にして自分を限定してはいけない」ではないか、というわけだ。安田さん曰く、「そんな風に自分を限定しちゃあいけない。もっと自分の可能性を広げなきゃあいけない(安田登「野の古典」第5回「ふつうの人のための論語」)。
戦争の話もおもしろい。「自衛のためというもっともらしい理由づけがなされますが、孔子はそれを『言い訳』としています」(略)「いつの世も戦争は起こり得ます。戦争を始めるには何らかの『言い訳』が常に必要です。私たちはこれを回避するためにも『言い訳』を見極められなければなりません」。
「小人」も勘違いしていたようだ。
五経の一つ『尚書』を読むと、小人というのは「ふつうの人」「大衆」という意味で使われている。したがって、論語の中で「小人は」と出てきたら、「ふつうの人は」と読めばいい。であれば、思い当たることばかりと、安田さん。
「君子」の解釈もおもしろい。
以上、無料で手に入る『scripta』2015年秋号から。見開き部分は「紀伊國屋書店出版部60周年」の綴じ込み付録。
2015/10/06
フルネームで呼んでくれてありがとう
スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。 ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。 シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...
-
バニアード (1999)の『 心理学への異議 』( 鈴木聡志 訳 2005)はいい本だ。内容も訳も。 その本の原注に、以下のような記述があったのをすっかり忘れていた。 心理学研究で調査される人を表現するのに「被験者(subject)」と「参加者(participant...
-
■コートネームとは 2013.7.5 http://www.osaka-shoin.ac.jp/life/report/2013/07/p=13896 バスケットボールのように展開が速いスポーツでは、いちいち「綾小路麗華シュ~~~ト」なんて名前で呼んでいる時間がないので...
-
『 卒業論文のデザイン 』読者のみなさんへ 文中で紹介した文献の改訂版、読書案内向きの新刊が出ています。以下はそのご案内です。 ▼p.16 「型を知り手本をまねる」最下行 『APA論文作成マニュアル第2版』→ 『 APA論文作成マニュアル第3版 』 ▼p.29 「コラム6 」C...