2016/09/21

社会心理学会


 先週末は社会心理学会で関西学院大学へ行っていた。大会参加は3年ぶり。
 今回は「写真はイメージです。」発表ポスター関連資料はサイトに掲載)をポスターで発表。
 タイトルは、チラシでよく見かける、あのフレーズである。こうした断り書きを業界では「エクスキューズ」と呼ぶらしい。
 「写真はイメージです」の制度的起源ははっきりしている。1993 年 4 月から、旅行業者は旅行業公正取引協議会 の決定にもとづいて、「旅行地の旅情を表現するために写 真などを使用する時は『写真はイメージです。』」と表示 するようになった。
 それ以降、この種の断り書きは増加の一途である。内容も分野も多岐にわたり、うんざりしている人も多いのではないだろうか。
 増加の背景としては、販売側の免責、購入客からのクレーム回避からはじまり、社会的文脈として、非寛容、関係分断も影響していると思っている。エクスキューズの状況は社会変化の指標に使える。
 予想に反して、いろいろな人が立ち寄ってくれた。消費者行動研究者、院生3人組、旧知の友、……。
 そうそう、今回はすてきなサプライズがあった。大会委員長から似顔絵の缶バッジを頂戴した。作者はT画伯。

 最近、コミュニケーションや社会心理学の本でよく目にするのがLCM言語カテゴリーモデル、Semin and Fiedler, 1988)
 ある人の行動を記述する際、「動作」寄りの(記述的行為動詞)表現と「行動主」寄りの(形容詞)表現とがある。前者には「足をぶつける」、後者には「乱暴だ」が当てはまる。両者の中間に、やや動作寄りの(解釈的行為動詞)表現と、同じくやや行動主寄りの(状態動詞)表現が存在する。「雑に歩いている」「いらいらしている」がそれぞれ相当する。これらの4段階は抽象度の程度でもある。
 日本語の論文では、菅 さやか・唐沢 穣 (2006) . 人物の属性表現にみられる社会的ステレオタイプの影響 社会心理学研究, 22(2), 180-188、唐沢 穣・菅 さやか (2008). 対人認知の心理過程と言語表現 益岡隆志(編)叙述類型論 pp.139-160. くろしお出版、がある。




フルネームで呼んでくれてありがとう

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