2016/10/08

新宿で

建築学概論」を見る。このを読むと、もう一度見たくなる。

 韓国の映画は現在と過去を交錯するものが多い。見る側も、自分の現在と過去を交錯させられる瞬間がある。

 久保田桂子さんの「記憶の中のシベリア2作。「祖父の日記帳と私のビデオノート」「海へ 朴さんの手紙」*。

 10年もかけて作られた映画。それがたった1時間で見られる。ありがたい限りだ。スクリーンには、蟻、青蛙といった小さな生命、浜辺の石のような小さな存在が大きく映し出される。そのひとつ一つがひとり一人の人間のように見える。矩形に近いスクリーンは、人を窓から見ているような気にさせる。あたかも目前で起きているようで、遠くの出来事に見えない。



 朴道興さんは軍隊で一緒だった親友、山根秋夫さんに手紙を出す。朴さん曰く「私ら二名は一心同体だった」。しかし返事が来ない。その届かない手紙を手に、久保田さんは歩く。山根さんの住所は広島県秋田郡。秋田郡がどこなのか判明しない。そのうちに秋田は安芸のことであることに気づき、山根さんにたどり着く。

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...