2017/05/18

名字も貢献

「東京新聞」文化娯楽面コラム「風向計」
「3秒の歌声」新妻聖子
大学の英語の授業で自己プレゼンテーションをした。
「歌が好き。歌手になりたい」と語ったら、「歌って!」の声。ためらいつつも、高校の時に覚えたアリア「ピエタ・シニョーレ」の一節を口ずさんだ、約3秒。
それを覚えてくれていた人がいた。2年後に、ミュージカル「レ・ミゼラブル」のオーディション担当者に推薦を頼まれた、その人が「大学の授業で歌を口ずさんだ子の声がとてもきれいだった。変わった名前で新妻聖子という子」と推薦してくれたのである。
役者や歌手としての実績がないのにオーディションに呼ばれたことが不思議だったが、あれがきっかけとは。
別の大学に行っていたら、「名字が新妻でなければ、たらればを言えばきりがないが、こうして私はミュージカルと出会った」。

フルネームで呼んでくれてありがとう

スティールの『 ステレオタイプの科学 』に、こんなエピソードが紹介されている。  ある伝説の英雄と同姓同名の人物に出会ったことで、研究上の疑問が解けたという話である。  シャーマン・ジェームズは、人種による健康格差の問題に取り組む公衆衛生研究者である。たとえば、アメリカの黒人は白...