秋の大島先生のシェイクスピア講座をきっかけに、遅れ遅ればせながらシュイクスピア。今週、来週は古屋先生のシェイクスピア講座。取り上げるのは十二夜の日英比較。
その流れで、「7人のシェイクスピア」を読んでいる。読み始めたら止まらない。パート1の6巻を読み終え、先日からパート2。この3巻には、指昭博さんの表題コラムが3編ずつ載っていて、これが、ボクには目から鱗。たとえば「ヴェニスの商人」。
ユダヤ人の金貸しシャイロック。シェイクスピアの生きた時代、イギリスにはユダヤ人は追放され、ほとんどいなかった。本物のユダヤ人を見たことはなかっただろう。
ではなぜシャイロックをユダヤ人にしたのか。
それは人々が金貸しという職業をユダヤ人と結びつけてイメージしていたからだ。ユダヤ人は土地所有を許されず、職業差別を受けていた。金貸しは許された数少ない職業だった。国王も彼らを利用して多額の献金を要求。そして金がなくなり、利用価値がなくなれば国外追放。追放するには理由がいる。それが「邪悪な人々」というデマを生み出す。実像とはほど遠い姿で想像された。「ヴェニスの商人」の人気はユダヤ人の邪悪イメージを強めることになった。名作も罪なことをしたのかもしれない、と指さん。