2019/07/15

台本通りなのに

ラジオのこちら側で』(岩波新書)に、心理学的におもしろいエピソードがあった。

 1988年9月、ピーター・バラカンは「CBSドキュメント」を担当するようになった。チェルノブイリ原子力発電所の大事故やベルリンの壁の崩壊と続くと、社会問題にアンテナを向けるようになった。そんなとき、TBSの本野義雄さんから声がかかったのがきっかけだった。番組は60ミニッツ(1968年から続く長寿番組)を素材とした番組。

 台本は本野さんが書いた。
その彼の台本で「ブロードキャスター」をしていたぼくは、自分が実際に知っている以上の物知りであるかのように、テレビには映っていたのでしょうが、それが災いしたこともあります。講演依頼や、国際情勢についてコメントしてくれなどという注文が、時々ぼくのところに来るようにもなりました。「ごめんなさい、テレビという媒体は非常に困ったもので、ぼくは本当にはそんなにもよく分かっているわけではないのです」と断らざるを得ないことも、しばしばありました。
番組の素材そのものは、アメリカ社会の背景を理解していないと分からないことも多かったので、一本のレポートについて、会話にして一分半くらい、日本の視聴者に身近に感じてもらうようなコメントや意見をぼくらが示す必要がありました。
いまやほとんど見かけなくなったクイズ番組の出演者に対しても、同じような誤解は起きる。

 NHK-FM、土曜日早朝の番組、One, Two, Sunshine!という掛け声で始まる(いつも途中から聞くので、まだ聞いたことがない(笑))「ウィークエンド・サンシャイン」は1999年から続く長寿番組。