2019/07/20

どうやら迷う社会に住んでいたようだ


「この道」の加藤登紀子連載は「あなたに捧げる歌」。84回目のきょうは「幸せの国」。そうブータンの話。

 お寺では何を祈るだろうか。

 2011年、辻信一さんたちとブータンに行った加藤さんキチュ・ラカンという寺院を訪れ、マニ車を回しながら回廊を歩いた彼女。
通訳の人に「何をお願いしようか、なかなか気持ちが決まらないわ」と言ったら、彼が笑いながらこう言った。

 さて何と言ったのだろう。
「ブータンでは自分のことはお願いしないです。みんなのこと、未来の幸せ、すべての生き物たちの無事を祈ります」と。
もうここでガツンと打ちのめされた。

 自分と他人は分けられない。ブータンの高い幸福度の背景には、低い人は外国に行ってしまうから高い人しか残らないとか、言われるが、こうしたメンタリティも高幸福度に貢献しているのだろう(ブータンではみんながそうするのだろう)。

 加藤さんは翌年10月、ティンプーの時計塔広場でコンサートを開く。